概要
本稿は、2022年8月3日に発売された、i☆Ris22枚目のシングル・Queens BluffのEnglish ver.の歌詞を独自解釈している試みです。筆者の解釈に全てが委ねられている点と、人によってとらえ方が何通りも存在する「詞」にフォーカスしているという点において、予め留意してください。気分を害しそうな気がする方は無理に読む必要は毛頭ございません。
なお、歌詞割りに沿って、各メンバーの担当箇所ごとに見ていくため、ものすごく記事が長くなるので、まあまあ覚悟してください。時間のない方は読むのをお勧めできません。
歌詞の行ごとの区割りは、CDの歌詞カードをそのまま採用しています。ソレデハイッテミヨ
1番・Aメロ 芹澤
穏やかなと冷静な、そして狂気と狂騒は同じような意味合いなので、英詞と日本語詞で言いたいことは大差ないといえる。
英詞における「your eyes」と日本語詞における「の合図」は母音の発音が同等であり、韻を踏んでいる。
1番・Aメロ 山北
ここでも英詞と日本語詞では情景については同じものを指しているのだが、英語はその性質上、主語を明確にしなければ文章を成り立たすことが不可能な言語であることから、日本語詞における「冷めた息」が「誰のものか」を明らかにする必要が生じる。
The houseを犬小屋と訳すのはいささか下劣かもしれないが、日本語詞ではloserを敗者とせず、明確に負け犬と、人以下の存在に位置付けているため、その日本語詞に忠実にした。その人が集う場所=犬小屋を燃やしていくのは、Venus=女神の冷たい息であるという因果である。
なお、Give me backの目的語をme=私とする(S+V+Oの第3文型とする)か、Give me (何か) back(S+V+O1/人+O2/物)とするかで解釈が変わる。後者だとする場合、O2/物にあたるのはおそらく返すものは「お金」であろう。何にしてもここは意味を解釈する余地がかなり残されているといえる。
1番・Bメロ 茜屋
Oh, no noは字余りに組み込んだ間投詞として訳を省略した。
英詞と日本語詞で描写されているものが大きく異なる。英詞では我ならざるものに支配されているが、日本語詞では我の内なるものを制御できないでいる。何かしらの対比なのだろうか。
1番・Bメロ 若井
You & me togetherを正直「一蓮托生」といささか誇大に解釈したかったがあまりにも個人的すぎる気がしてやめた。ある程度は忠実な翻訳を心がけねばなるまい。
日本語詞にしか現れない「Deal」とは、取引、(カードの)分配、企て、のような意味合いである。
黒と赤(※Black・Red)はトランプに使用されているカラーであるため、賭ケグルイの世界になぞらえた賭け事の婉曲であろうと思われる。英詞では「Black or Red」に自ら挑むとされているが日本語詞では「Black or Red」が己に襲い掛かるような描写をしているため、英詞と日本語詞で能動性(あるいは受動性)に明確な差異があるといえる。
1番・Cメロ 久保田
おおよそ英詞と日本語詞に言いたいことの差はない部分である。ただ、英詞の方が何かしらの「カマかけ」を企んでいる「思考の最中の自問自答」のように見え、逆に日本語詞は内的な事情ではなく、外から見た客観的な情景描写に留められている印象を受ける。
1番・Cメロ 茜屋 / ラスサビ前・Cメロ 山北
ここは、英詞では久保田さんのパートのメロディーに「裏腹の微笑」をはめ込めなかったために降りてきていると解釈するのが自然かと思われる。日本語詞における久保田さんパートの「イカサマをカモる正義の微笑」を示していると思われる。
A smile on my face with an opposite=裏腹の微笑 grace=~を飾り立てる という解釈をしたが、正直難しい。
1番サビ / ラスサビ 全員
Come on babyは勝負相手への煽りとも取れるし、自分に対して虚勢を張ることで恐怖に打ち勝とうとしているとも取れるので、ものすごく安直に訳した。
1番・サビ 若井 / ラスサビ 久保田
あっぱれと言わんばかりに、あまりにすんなりハマっていて英詞も日本語詞も大差ない。
1番・サビ / ラスサビ 全員
ここも英詞と日本語詞に大差ない。→英詞:「どれも私のためじゃない=捨てるに等しい」なので。
1番・サビ 久保田 / ラスサビ 芹澤
何も言うことはないが、ひとつ言うならお洒落である。
1番・サビ / ラスサビ 全員
全部一緒!!!!!
1番・サビ 芹澤 / ラスサビ 全員
Google翻訳したみたいな安直な翻訳好き。「女神が再降臨」です。体言止め。(?)
2番・Aメロ 若井
cuzとは、口語(話し言葉)において省略された「because」のこと。
theyが何を指しているのかは聞き手の自由かと思うのだが、聞き手の1人である私は、このtheyはタイトルのqueensだと思っている。だって3人称複数形だし。ここまでの歌詞に3人称複数形の名詞でしっくりくるのないし。ともあれとにかくそうするとしっくりくるのである。勝負事のクイーン様は昼夜関係なく存在し、賭け事に勤しむ者たちに躊躇なく降りかかってくるということの文学的表現とすれば、ここのフレーズはとても美しいと思う。あくまでも筆者の考えの一つであるため悪しからず。
2番・Aメロ 茜屋
英詞と日本語詞でほぼ同じことを言っているので特に言うことはない。
2番・Bメロ 山北
英詞と日本語詞で同じことを言っているのだが、言い回しが全然違う。
まず日本語詞では勝負ごとに挑む者の視点で主観的に述べられている。それに対し、英詞はおそらく勝負ごとの女神(VenusあるいはQueen)によって、客観的に挑戦者に対する啓示のような形で投げかけられているのである。そういう意味において、このQueens Bluffという歌の詞は、視点の転換がかなり繊細である。それも言語の違いによって行われているのだからある種、高度といえる。
2番・Bメロ 久保田
ここも、1つ前のパートと同じように、英詞では他者視点、日本語詞では「我」の視点である。
どうでもいいがManeuver(s)という語は軍事的な意味合いあるいはニュアンスでの「策略」を指すため、ここの英文はかなり暴力的である。賭け事とは破壊行動なのかもしれない。
2番・Cメロ 芹澤
たまげるくらいに英詞と日本語詞で言うてることちゃうやんけ事案。
英詞では、ゲームがスタートするまでの挑戦者を取り巻く環境を時系列で言っているのか?ぶっちゃけ名詞のみの羅列を時系列と取るのか、単なる(順番に関連性のない)描写と取るのかは賛否ある。
2番・Cメロ 若井
1つ前の芹澤パートで「表と裏」が対比されているのと同様に、ここでは「万物と無(100と1)」が対比になっている。
また日本語詞では「ジャングル」を「戦場」としているので、やはりどうしても軍事に絡めた語を用いて、強かさ・荒々しさの比喩表現を黙認している節がある。
2番・サビ 全員
「wanna」は「want to」の口語(話し言葉)表現である。つまり「I wanna be」は「I want to be」。
2番・サビ 茜屋
英詞で前のパートで「なりたい」といっているので、ここのパートの英詞は「何になりたいのか」を示している。ちなみに日本語詞も前のパートとの繋がりを保持している。
おおよそ英詞と日本語詞で言いたいことは同じだが、行動の描写がより壮大なのが英詞であろう。
2番・サビ 全員
※コピペなので1番になっていますが間違いなく2番の内容です
そして言いたいことはほぼ同じ。
2番・サビ 山北
※すみませんコピペして書き換えてないのですが2番サビの内容だし山北さんのパートです。
「tryna」は「try to」の口語(話し言葉)表現です。日本語詞と英詞で言いたいことは同じ。ここは自信に満ち溢れている描写でしょう。
2番・サビ 全員
全部一緒!!!!! luckは幸運とかそういう意味。
2番・サビ 若井
※だからお前1番じゃなくて2番だろが…
そして触れるべきことは何もない。
間奏
全部一緒~!!!
おわりに
深夜に唐突にWordで作り、文書をPDFにし、PDFをJPEGで画像化するまでの勢いがすごかった。その割に、そのあとこのブログを書く気力が急になくなり、しかもブログを書いている最中に自分の文書の誤りにさらに萎えさせられるという謎ムーブを展開しました。
これを読んでいただけた方の中でも考察が展開されているのならば、面白いなと感じております。文学やアートは、受け取り手の解釈が全てですので、これが正しい、あれは間違いなどという制限は何一つありません。楽しくキャッチするのがいちばんの味わい方なのです。
これを機に歌詞を考える楽しみ方の輪がどこかで生まれているといいなと思う筆者なのでした。
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